海外クレジットカード事情
チップはクレジットカードでも支払える!支払い方法と注意点を解説
投稿日時:2020.02.06
海外旅行に出かけると、日本との文化の違いに戸惑うことも多いですよね。欧米などで遭遇するチップという習慣もその1つです。
チップ文化のない日本から出て初めてチップが必要な局面に遭遇すると、例えば支払い方法1つとっても、どのように対応するのが正解なのか自身がない…という方もいるのではないでしょうか?
チップの支払いと言えば現金が主流ですが、実はレストランに関してはクレジットカードでチップを支払うことが可能なケースもあります。
ここではそうしたチップをクレジットカードで支払う場合の手順や注意点などについて、詳しく解説していきたいと思います。
国によっては必須!?チップの基本の仕組みを確認
まずはチップの基本について確認しておきましょう。
チップというのは、基本的にはレストランのウエイター・ウエイトレスやホテルのポーター、清掃メイドと言った人たちに対して、それぞれのサービスの対価として支払う報酬です。
もともと海外ではこうしたサービス業従事者のベーシックインカムが非常に低く、それを補うための仕組みとしてチップという習慣が生まれたとされています。
つまりチップは、もともとはサービス提供者個人に対して個人的に支払う歩合制のサービス料のようなものなのです。
となると、『サービスに満足できなかった場合には支払わなくてよいのか?』と思う方もいるかもしれませんが、すでにチップが習慣として根付いている国や地域ではチップを支払わないというのはマナー違反になってしまいます。
基本的にはチップ文化のある国では必ず支払うべきものと考えておいた方がよいでしょう。
チップはレストランやホテルで必要!相場通りにしっかり支払いを
それでは、チップはどのようなシーンで必要になるのでしょうか?基本的には、チップを支払うべきシーンはホテルの宿泊時、あるいはレストランで食事をしたときのいずれかです。
といっても、ファストフードやチェーンのカフェと言った、セルフサービスを前提とするお店ではチップを支払う必要はありません。
テイクアウトの場合も同様です。あくまでも、食事の際の給仕や荷物の運搬と言った特定のサービスを受けた場合に、そのサービスを提供する個人に対して支払うということが前提となります。
チップの習慣のない日本人であっても、チップ文化のある国ではこうしたチップの支払いが必要なサービスを利用した場合には、必ずしっかりと相場通りのチップを支払うようにしましょう。
なお、あまりにもサービスのレベルが低いなどの理由でチップを支払いたくないとなれば、支払わないことも可能ですし、サービスへの満足度によって多少金額に増減があっても構いません。
ただしチップを払うことが当たり前の国でチップをあえて支払わなかったり、金額を相場より減らすという選択をすることは無用なトラブルの原因にもなりかねないのでくれぐれも注意が必要です。
チップ習慣は国によって違う!相場や考え方を一覧で確認
チップに対する考え方は、国や地域によってかなり大きく異なります。そこでここでは参考までに、レストランを利用する場合を想定して、チップの習慣がある主要な国の相場や考え方を一覧で確認してみましょう。
| 国 | レストランでの相場 | チップの必要性 |
|---|---|---|
| アメリカ | 15%~20% | ほぼ必須 |
| カナダ | 15%~20% | ほぼ必須 |
| エジプト | 5%~10% | ほぼ必須 |
| アラブ首長国連邦(UAE) | 15%~20% | ほぼ必須 |
| インドネシア | 5%~10% | ほぼ必須 |
| ロシア | 10%~15% | レストランによっては必要 |
| アルゼンチン | 10%~15% | 会計にサービス料が含まれないレストランでは必要 |
| スペイン | 5%~10% | レストランによっては必要 |
| 南アフリカ | 10%~15% | 会計に自動加算されない場合は必要 |
| イギリス | 10%~15% | 会計にサービス料が含まれないレストランでは必要 |
| ドイツ | 5%~10% | サービスへの満足度が高い場合に支払う |
| イタリア | 5%~10% | サービスへの満足度が高い場合に支払う ※サービス料込みの場合は不要 |
| フランス | 5%~10% | サービスへの満足度が高い場合に支払う ※サービス料込みの場合は不要 |
欧米を中心に、中東やアフリカ、東南アジアなどでも一部の国ではチップ文化が根付いています。なお、金額の相場はあくまでも参考であり、お店のランクなどによっても適正なチップ額は異なります。
また、チップに関する状況や考え方は年々変化しており、国や地域によっては相場などが多少なりとも変動している可能性もあります。
海外旅行に行く際には、必ず事前に渡航先のチップの相場や支払うべきシーンなどについて、最新の情報を確認しておくことをおすすめします。
レストランではクレジットカードでのチップ支払いも可能
冒頭でもお伝えしたとおり、チップの支払いは基本的には現金で行います。
ですが、レストランでは場合によってはクレジットカードでのチップの支払いに対応しているところもあるのです。
慣れない通貨でチップの適正額を間違いなく用意し、スマートに渡すというのは簡単なことではありませんから、クレジットカードで飲食代金と一緒に支払ってしまえるとしたらありがたいですよね。
チップ額・合計額は自分で記入!クレジットカードのチップ支払い手順
ここからは、クレジットカードを利用したチップの支払い手順や知っておきたいキーワードについて、英語圏を想定して解説していきたいと思います。まずは基本の流れを確認してみましょう。
- ①ウエイター・ウエイトレスに会計したいことを伝える
- ②食事代の伝票を受け取る
- ③伝票にクレジットカードを挟んでウエイター・ウエイトレスに渡す
- ④クレジットカード支払い用の伝票を受け取る
- ⑤チップ欄にチップとして支払う金額を記入する
- ⑥総計欄に食事代とチップの合計額を記入する
- ⑦決済手続き後の伝票にサインをする
- ⑧支払い完了
欧米のレストランではテーブルチェックが原則となっており、会計をしたい場合には席を立たずにまずウエイター・ウエイトレスに申し出ることになります。言い方としては、『Check please.』あるいは丁寧にいうならば『May I have the check?』が適当でしょう。
まずは食事代のみが記載された伝票を受け取り、そこにクレジットカードを挟んで渡すと今度はクレジットカード支払い用の伝票を用意してくれます。
この際、伝票は店舗控え(Merchant copy)とお客様控え(Customer copy)の2枚があり、チップ金額を記入するのは店舗控えの方です。伝票の形式はだいたい共通で、以下のようになっています。

Tip(チップ) _________
Total(総計) _________
このチップと合計額の欄をこのように自分で埋めることになるわけです。

Tip(チップ) $5.00
Total(総計) $35.00
なお、レストランによってはクレジットカードでのチップ支払いに対応していない場合もあります。ウエイター・ウエイトレスに会計を申し出る際に、必ずチップのクレジットカード決済が可能かどうか確認するようにしてください。
チップ込みの金額になっている場合も!伝票の内容は要確認
レストランによっては、最初から支払い額がチップを含む金額になっている場合もあります。
この場合、伝票には以下のように記載されています。

10% SVC(サービス料10%) $3.00
Total(総計) $33.00
この『SVC』というのは、Service charge(サービス料)の略です。レストランによっては『Gratuity』『Tip』などと記載されていることもあります。
このようなケースでは、伝票通りの金額を支払えば問題ないでしょう。なお、このようなすでにチップがサービス料として込みになっているレストランでも、伝票にもう1つ『Tip not include(含まれていないチップ)』という欄がある場合があります。
この欄には追加でチップを支払う場合に記入するのですが、必ずしもプラスアルファのチップを支払わなければならないという強制力のあるケースではありません。
サービスへの満足度が非常に高く、ぜひチップをプラスしたいということでもなければ、支払う必要性はないと考えてよいでしょう。その際には、『Tip not include』の欄には斜線を引くなどして支払いをしないという意思表示をしましょう。
トラブルを避けるために…クレジットカードチップ支払い2つの注意点
チップを飲食代金とまとめてクレジットカードで支払う場合に、トラブルを避けるために注意してほしいことが2つあります。
- 伝票のチップ欄・総計欄が空欄の場合には必ず自分で記入する
- 支払い後にレシートでチップの金額を再度確認する
以下に詳しく解説していきましょう。
空欄は必ず自分で記入を!記入漏れで高額チップ請求もあり得る
最初に伝票をウエイター・ウエイトレスが持ってきた段階でチップが代金に含まれていない場合には、チップ欄・総計欄が必ず空欄になっています。この2つの欄は絶対に空欄のままにせず、確実に金額を記入するようにしましょう。
もしチップ欄や総計欄を空欄のままで支払いに回してしまうと、『金額がいくらでも支払います』という意思表示に取られてしまい、店側が勝手に金額を記入して相場よりも高額なチップを支払う羽目になるという可能性があります。

お店が用意した伝票に自分で金額を記入するというのはチップの習慣がない日本人にとっては馴染みにくいことかもしれませんが、必ずそのようにしてください。
なお、チップをクレジットカードで支払う場合はチップ欄には金額を記入すればよいのですが、現金払いの場合はどうするのかというのが気になるところですよね。
チップのみ現金で支払いをするケースでは、チップ欄に『Pay in cash』もしくは『Cash』と記入しましょう。どちらも『現金支払い』という意味になります。
くれぐれもチップは現金払いだから…とチップ欄を空欄のままにするようなことはないようにしてください。
金額の書き換えで不正請求!?伝票のチップ額は必ず確認を
支払い手続きが完了してクレジットカードの控え伝票にサインをする際には、必ずチップの金額を改めて確認するようにしましょう。
悪質なお店だと、チップ欄をきちんと記入していてもお店側で勝手にチップの金額を書き換えられたり、極端な話『5』を『50』というように数字を足されてしまうこともあります。
伝票には必ず実際に支払うことになる金額が記載されてくるはずなので、万が一不正があっても見逃さないようしっかりと確認しましょう。

なお、書き換えの防止策としては金額の末尾に『-(ハイフン)』を付ける、金額を小数点第2位まで記入するなどの対策があります。具体的には『$5』ではなく『$5.00-』と記入するということです。
現地通貨よりラク!クレジットカードでチップ支払いに挑戦してみよう
チップは日本人にとっては馴染みのない習慣ですが、チップ文化のある国や地域では必要な場面でチップを渡すのは当たり前の行為であり、避けて通ることはできません。
だからこそ、『郷に入っては郷に従え』の気持ちを大事にして、必要に応じてなるべくスマートに、なおかつトラブルなくチップを支払えるようにしたいですよね。その際、クレジットカードを利用するという方法は現地通貨よりも馴染みのツールである分やりやすいはずです。
ぜひ海外旅行の際には、ここでご紹介した情報を参考にしてクレジットカードでのチップ支払いに挑戦してみてはいかがでしょうか?







