海外クレジットカード事情
イギリスのクレジットカード事情!旅先でのカード活用法を徹底解説
投稿日時:2020.09.08
海外旅行で何よりも必要な情報は、観光やグルメではなく現地の決済方法ではないでしょうか?先立つものが使えなくては、旅行先で立ち往生するしかありませんよね。
そこで今回はイギリス旅行に役立つ現地の決済状況と、使いやすいクレジットカード情報をお届けしましょう。旅行先では楽しいことばかりとは限りません。
もしも病院のお世話になるようなことがあれば、多大な医療費が発生する可能性も。そんな時にもクレジットカードがきっとお役に立ちます。イギリスでもクレジットカードを使いこなして、ぜひ快適な旅行を実現してください。
イギリスのクレジットカード普及率は?キャッシュレス旅行は可能か?
欧米は言わずと知れたクレジットカード社会。もちろんイギリス旅行にはクレジットカードが欠かせません。しかし本当にクレジットカードだけで大丈夫なのでしょうか?
またイギリス旅行には、一体どんなカードを準備すればいいのでしょう?
イギリスではデビットカードの利用率が高い
キャッシュレス化は世界的な流れですが、その進行の度合いや決済手段は国によっても様々です。イギリスでは現在以下のような決済方法が流通していますが、この中でも近年特に人気の高いのがデビットカードです。
- 現金
- 小切手
- 電子マネー
- クレジットカード
- デビットカード
アメリカや中国でも同様の傾向が見られますが、イギリスでもクレジットカード以上にデビットカードがよく使われています。どちらも同じ決済インフラを使用するので、イギリス旅行にはクレジットカードを持っていけば、とりあえず決済方法に不自由はしませんよ。
ホテルのチェックインにはクレジットカードが便利
もちろんデビットカードでも構いませんが、海外旅行にはクレジットカードの方がずっと便利です。例えばイギリスのホテルに宿泊したりレンタカーを借りようと思ったら、クレジットカードは欠かせません。
これらサービスの利用時には、必ずデポジット(保証金)を預ける必要があるからです。デポジットは現金やデビットカードでも支払えるのですが、この通りどちらにも問題があります。
- 現金・・・・・・・・・現地通貨で支払う
- デビットカード・・・・銀行口座から即時引き落しされる(後日返金される)
- クレジットカード・・・引落しされない(後日キャンセル処理される)
デビットカードを使うと保証金が実際に引き落とされてしまいますから、返金処理に数週間以上を要することもあるのです。また現金で保証金を支払えば、チェックアウト時に多額のポンドが返金されて持て余すことになるでしょう。
しかしクレジットカードなら、余分な現地通貨を両替する必要もなく、スマートにチェックイン&チェックアウトできるのです。
パブなどでは現金しか使えないことも
イギリスでは大抵の場所でクレジット決済が可能ですが、以下のように幾つか現金しか使えないサービスもあります。
- 露店
- 小さいパブ、カフェ
- 一部のタクシー
- 公衆トイレ
イギリス名物のパブでも基本カード決済が可能ですが、小さなお店は現金にしか対応していないことも。地元のお店にも入ってみたい方は、現金も準備しておきましょう。
タクシーも短い距離だとカード払いを拒否されるかもしれないので、移動にもある程度の現金を持っている方が安心です。
チップ不要のお店も多い
またチップにも現金が必要です。イギリスでサービスを利用する際には、以下の金額を目安にチップを渡してください。
| チップ | 金額の目安 (1サービスに対して) |
注意点 |
|---|---|---|
| ホテル | 1ポンド | 必要に応じて |
| レストラン | 料金の10% | サービス料込みなら不要 カード払いも可能 |
| タクシー | 料金の10%~15% | お釣り分を上乗せしてもOK |
ただしレストランの伝票に「servece charge」と記載されていれば、サービス料込みなので基本的にチップは不要です。
もしも伝票に「gratuities」という欄があれば、クレジットカードでチップを支払えます。
その場合はその欄に希望の金額を記入すれば、料金との合計額がカード決済されますよ。
両替は日本でもイギリスでもOK
ではイギリスの現地通貨のポンドはどうやって入手すればよいのでしょう?日本円をポインドに両替する場合、レートは日本でもイギリスでも大差ないので、出発前に日本で両替しておきましょう。
お忙しい方には、外貨を宅配してくれるサービスもおすすめです。でもロンドンにはレートの良い両替店があるので、日本での多額の両替は必要ありません。
クレジットカードのキャッシングがおすすめ
ただイギリスは治安が悪く、円にしろポンドにしろ多額の現金を持ち歩くのは危険です。盗難補償のあるカードとは違って、現金は盗まれたらそれで終しまいだからです。
そこでおすすめしたいのが現地のATMでのキャッシングです。クレジットカードがあれば、海外キャッシング機能を使っていつでも必要分のポンドを引き出すことができますよ。
- 必要時に必要分のポンドを引き出せる
- 両替よりも費用がかからない
キャッシングは利用日数分の利息が発生しますが、帰国後すぐに返済すれば両替手数料よりも低コストです。
スキミングも多発!ATMは銀行が安心
ただしスキミングなど犯罪に巻き込まれる危険性もあるため、使用するATMを選んでくださいね。比較的安全なのは銀行のATMですが、その際にも以下の点にはご注意ください。
- 周囲の人に注意(現金を強奪される危険性)
- 4桁の暗証番号の入力時は手で覆う(覗き見される危険性)
- ポンド建てを選択する(円建てはレートが悪い)
ATMによっては日本円での決済を選択できる場合もありますが、レートが悪いので必ず現地のポンド建てを選びましょう。
ブランドはVISAとMasterが使いやすい
世界の2大ブランドVISAとMasterCardが使いやすいのはイギリスでも同じです。現地のATMも、この2種類のブランドのカードには間違いなく対応します。
- ロンドンのJCBプラザ(有人デスク)を利用できる
- イギリスにはJCBの優待店がたくさんある
ただし日本のブランドJCBは、ATMでもお店でも使えない場合もあります。しかしJCBブランドのカードには以下のメリットがあるので、イギリス旅行ではきっと重宝しますよ。

イギリス旅行には、VISAもしくはMasterCardに加えて、JCBブランドとの2枚持ちがおすすめですね。
イギリスの通貨はポンドとペンス
ここでイギリスの通貨についてご説明しましょう。イギリスの現地通貨はポンド(£)、補助単位はペンス(p)です。以下がイギリスで使われている通貨で、1ポンドは日本円でおよそ150円くらいです。
- 紙幣・・・£5、£10、£20、£50
- 硬貨・・・£1、£2、1p、2p、5p、10p、20p、50p
旧10ポンド札は2018年3月から使えない
イギリスでは度々紙幣が切り替わります。もしも切替済みの旧紙幣をお持ちなら、そのままでは使えませんのでご注意ください。以下は最近の切り替え状況です。
| 通貨の種類 | 新紙幣への切替状況 |
|---|---|
| 5ポンド札 | 旧紙幣は2017年5月から使用停止 |
| 10ポンド札 | 旧紙幣は2018年3月から使用停止 |
| 20ポンド札 | 2020年に切替予定 |
| 50ポンド札 | 未定 |
切り替え期間が完了した旧貨幣は交換が難しくなります。既に切替済みの古いコインを掴まされないよう、お釣りにも気をつけてくださいね。
イギリスにはクレジットカードが便利!オイスターカードで乗車も楽チン
イギリスでのホテルやお店では、殆どの場合クレジットカードが使えることが分かりました。しかしこれ以外にも、クレジットカードは旅行中様々なシーンであなたのお役に立ちますよ。
次にイギリスの交通事情についてご説明しましょう。
ロンドン市内は電車やバスの移動が便利
イギリスでは有名な2階建てバス(double decker)を始めとして、以下のように様々な交通手段を利用できます。
- タクシー
- 電車
- 地下鉄
- バス
- 長距離バス
特にロンドン市内は鉄道やバス路線が発達しており、どなたも気軽に移動できます。でも行き先の運賃を調べて切符を買うのは、旅行者にとって決して簡単なことではありません。

そこでおすすめしたいのが、ロンドン交通局が発行する交通系ICカード「オイスターカード」です。
電車やバスの利用はオイスターカードが便利
オイスターカードは日本のSuica(スイカ)と同じ交通系ICカードで、その使い方も全く同じです。ロンドン市内のバスやトラムでは乗車時に、そして電車や地下鉄は乗車時と降車時にリーダーにタッチすれば運賃が清算されます。
これなら現地の交通に不慣れな旅行者も、気軽に電車やバスに乗れるでしょう。またクレジットカードで簡単にチャージできる点も、旅行者にとっては好都合です。
オイスターカードを持っていれば、運賃のためにわざわざ両替する必要がありません。ただしオイスターカードはコンビニなどお買物には使用できず、今のところは交通専用となっています。
オイスターカードなら半額で電車に乗れる
- クレジットカードでチャージできる
- デポジットは£5
- 鉄道料金が半額以下になる
- 残高とデポジットは返金される
オイスターカードは便利なだけでなく大変お得なカードでもあります。
オイスターカードには大幅な割引が適用されるため、なんと半額以下の運賃で電車に乗れるのです。
それに帰国する際のカードの処理も簡単ですよ。オイスターカードには有効期限がないのでそのまま持ち帰っても構いませんし、帰国前にカードを返却すれば£5のデポジットと残金が戻ってきます。
オイスターカードのチャージはクレジットカードで
オイスターカードは、以下のように様々なブランドのクレジットカードでチャージ(top up)できます。

- Visa
- Mastercard
- American Express
- JCB
- Diners Club
ロンドンの地下鉄の駅には日本語でも操作できるマルチリンガル対応機が導入されたので、英語が苦手な方でも安心ですよ。その他ロンドン市内3,800ヶ所のオイスター・チケット・ストップでもチャージは可能です。
なお英語でICカードへの入金は「チャージ」ではなく「トップアップ=top up」と言いますのでお間違えのないように。
ビジター・オイスターカードは日本でも手に入る
オイスターカードは駅の券売機の他にも色んなお店で販売されています。イギリスに到着したら、青いロゴマークを目印にカードを手に入れてくださいね。
でもオイスターカードは日本国内でも入手できるんですよ。ビジター・オイスターカードは、日本にいる間に英国観光庁オフィシャルショップのサイトで£3で購入できます。
- 日本でも購入可能
- 英国観光庁オフィシャルショップにて販売
- 購入代金は£3(デポジット不要)
- チャージ残高の払い戻しは可能

こちらがビジター・オイスターカードの券面です。旅行者向けに、お土産に持ち帰っても喜ばれそうなデザインですね。
ビジター・オイスターカードは持ち帰り専用
ビジター・オイスターカードはお土産として持ち帰れるよう、代金にはデポジットが含まれていません。
£3はカード本体価格なので返金されませんが、チャージ残高についてはロンドン市内のビジターセンターにて払い戻しが可能です。返金は郵送でも受け付けており、帰国後日本からも手続きができます。
帰国後の返金も可能だがカードは戻ってこない
ただし帰国してから郵送で残高返金の手続きをする場合、ビジター・オイスターカードを返却しなくてはなりません。しかも英国ポンド建ての小切手で返金されます。
郵送費がかかる上にカードも戻ってこないので、ビジター・オイスターカードの払い戻しは必ずイギリス国内で済ませましょう。
イギリス旅行にはクレジットカードの海外旅行保険が絶対に必要
クレジットカードはイギリス旅行中、宿泊、ショッピング、交通に便利に使えますが、クレジットカードが役に立つのはこれだけではありませんよ。
クレジットカードに付帯する海外旅行傷害保険も、イギリス旅行には必要不可欠です。次にイギリスの医療事情と旅行保険の使い方についてご説明しましょう。
旅行保険に入っていれば私立病院で治療を受けれる
ご存知の通りイギリスの医療制度はとても充実しており、国民保健サービス(NHS)に加入している国民は、基本的に自己負担ゼロで医療を受けることが可能です。
NHSの制度下では先ずかかりつけ医(GP)の診察を受けて、次に公立の専門医を紹介されるという仕組みになっています。
しかし公立病院は無料ということもあって、常に混雑しています。しかもサービスもよくないのでイギリス国民には評判が悪く、治療費がかかっても私立のクリニックを利用する人も多いのだとか。
イギリス旅行中は海外旅行傷害保険の補償がつきますから、旅行者はお金のことは気にせず私立病院で治療を受けましょう。
クレジットカードの付帯保険でも治療可能
でもイギリス旅行のためにわざわざ保険に任意加入しなくてもいいんですよ。クレジットカードを持っていれば、大抵の場合は付帯サービスとして海外旅行傷害保険がついているからです。以下に海外旅行保険の違いを表にまとめましたのでご覧ください。
| 違い | 任意加入の保険 | カード付帯保険 (自動付帯) |
カード付帯保険 (利用付帯) |
|---|---|---|---|
| 保険料 | 必要 | – | – |
| 加入手続き | 必要 | – | カードで旅行費用を決済 |
クレジットカードの付帯保険のいいところは、手続きも保険料も必要ないことです。カード会員であれば、何もしなくても自動的に保険が適用されます。
カード付帯保険の問題点は、利用条件つきの場合があることと、総体に補償額が低いことです。
付帯保険は利用条件を確認することが大切
特に利用条件つきの保険は、そのカードで旅行費用を支払わないと有効にならないので注意が必要です。
イギリス旅行の前には、先ずお持ちのカードに海外旅行保険が付帯していることを確認し、もし保険が付帯していたら必ず以下4点をチェックしてください。
- 保険適用に利用条件がないか
- 治療費用(怪我や急病の治療費)の補償額が低すぎないか
- 救援者費用(医療搬送などの費用)の補償額が低すぎないか
- キャッシュレス診療に対応しているか
この中のキャッシュレス診療とは、電話1本で旅行者向けのクリニックを紹介してもらえる上に、現地での医療費の清算が不要になる便利なサービスです。このサービスに対応しているかどうかも、保険選びの重要ポイントですよ。
2枚以上のカードの付帯保険は合算できる
クレジットカードの付帯保険の補償額が低くても心配ありません。2枚以上のカードで保険を強化することが可能です。複数の付帯保険が適用されると、死亡/後遺障害を除く全項目の補償額が合算されるのです。
- 死亡/後遺障害は一番高い補償額になる
- その他の補償項目は合算後の金額が最高補償額になる
ただしその保険が有効でないといけないので、保険の利用条件にはご注意くださいね。
2千万円近い保険金が支払われた例も
旅行中の災難は決して頻繁に起こるものではないのですが、イザという時に頼りになるのが保険です。特に海外の医療費は高額ですから、請求を受けてビックリなんてことのないようにしたいものですよね。
以下はイギリス旅行中に発生した事故と、それに対して支払われた保険金の実例です。
| 事例 | 支払われた保険金 |
|---|---|
| 胸の痛み 気胸と診断 25日間入院・手術 家族が駆けつける 医師・看護師が付き添い医療搬送 |
9,580,000円 |
| 熱と咳 E型肝炎と診断 43日間入院・手術 家族が駆けつける |
5,600,000円 |
| 激しい腹痛 卵巣嚢腫茎捻転と診断 4日間入院・手術 |
4,510,000円 |
| ホテルで意識を失う 脳梗塞と診断 25日間入院 家族が駆けつける 医師・看護師が付き添い医療搬送 |
19,278,865円 |
| 暴漢に襲われ意識不明 頭部外傷と診断 41日間入院・手術 家族が駆けつける 医師・看護師が付き添い医療搬送 |
11,244,970円 |
| 機内食が喉に詰まる 搭乗していた医師の治療を受ける 家族が駆けつける |
3,575,992円 |
| 意識を失う 一過性意識障害と診断 12日間入院 家族が駆けつける 医師・看護師が付き添い医療搬送 |
4,534,565円 |
| 転倒し手と足を強打 上腕骨・大腿骨頸部骨折と診断 17日間入院・手術 家族が駆けつける 看護師が付き添い医療搬送 |
4,970,000円 |
| 転倒し胸を強打 血気胸と診断 3日間入院・手術 家族が駆けつける |
5,840,000円 |
上記は全て保険金で支払われた事例なので、加入者の自己負担はありません。中には2千万円近い金額も見られますが、いずれも到底支払える金額ではないですよね。
海外旅行保険では医療搬送などの費用も補償される
上記の事例は特に危険なことをしていた訳ではなく、普通にイギリスに滞在していて起きたことばかりです。つまりどなたもこうなる可能性がある訳です。
でも海外旅行傷害保険に入っていれば、治療にかかる費用だけでなく、医師や看護師が付き添っての医療搬送や、現地に家族が駆けつける際の旅費や滞在費までが補償の対象となります。
支払われた保険金の額が高いのは、こういった費用も含まれているからなんですね。
カード付帯保険で医療搬送や損害賠償まで補償される
そこで一般的なクレジットカードに付帯している、海外旅行傷害保険の補償内容を詳しく見てみましょう。
| 補償項目 | 補償対象 |
|---|---|
| 死亡・後遺障害 | 死亡や重い障害を負った |
| 傷害治療費用 | ・怪我の治療をした |
| 疾病治療費用 | ・病気の治療をした |
| 賠償責任 | ・他人の持ち物を壊した |
| 携行品損害 | ・身の回りの物が壊れた ・もしくは盗まれた |
| 救援者費用 | ・医療搬送された ・家族が日本から駆けつけた |
海外旅行保険に入っていれば、旅先で体調を崩したり怪我をした時だけでなく、持ち物を盗まれた場合や他人の持ち物を壊してしまった時にも補償がおりるんですね。イギリス旅行において、海外旅行保険はどなたも必ず加入してしかるべきものです。
イギリスはクレジットカード社会!必ずクレジットカードをご持参ください
イギリスはキャッシュレス化が進んでおり、基本的にどこでもクレジットカードが通用します。チップや一部店舗には現金が必要ですが、キャッシング機能を使えばクレジットカードで現地通貨を調達できますよ。
ロンドン市内の電車やバスに乗る際にも、クレジットカードでチャージできるオイスターカードを使えば現金は必要ありません。
また現地で病院にかかる際にも、クレジットカードの付帯保険が役に立ちます。イギリスの私立病院の治療費は高いので、ぜひ複数のカードで保険を強化してくださいね。







