クレジットカード基礎知識
クレジットカード払いで領収書はもらえる?収入印紙は不要?その疑問解明
投稿日時:2019.12.16
高額支払いもスムーズに済ませられるクレジットカードは、自営業・個人事業主の方のビジネスのおともになくてはならないツールですよね。あるいは会社員の方でも、接待や出張など一時的に支払いを立て替える際に利用したいと考えている方もいるでしょう。
ただ、ビジネスの支払いでクレジットカードを利用するとなると気になるのが領収書のことです。クレジットカードの支払いでも現金と同様に領収書を受け取ることはできるのでしょうか?
また、収入印紙はその場合必要になるのでしょうか?そんなクレジットカードと領収書に関する疑問について、ここでは解明していきたいと思います。
実は発行は法律上の義務だった!領収書の役割
クレジットカードと領収書の関係を解説するにあたって、まずはいま一度、領収書の役割やきまりごとについて確認しておきましょう。

必ずお金を受け取った側、つまりお店側が支払者に対して発行することになります。
この領収書の発行に関しては、民法の中で規定がなされています。つまり領収書の発行は商売のルールや慣習ではなくれっきとした法律上の義務なのです。
したがって、支払いをするお客さんから領収書の発行を求められた場合には、お店側は必ずそれに従わなければならないことになっています。
発行済の領収書を紛失した場合、再発行不可
ただしすでに発行済みの領収書を紛失してしまった場合、お店に再発行を依頼することは原則不可能となってしまいます。
領収書を二重発行してしまうと、それが二重計上や経費の水増しに利用されるリスクがあるからです。領収書の管理にはくれぐれも注意し、紛失しないよう気を付けましょう。
お店が払う印紙税の徴収に必要!収入印紙の役割
もう1つ、収入印紙についてもご説明しておきましょう。収入印紙とは、国が『印紙税』と呼ばれる税金を徴収するために使われる政府発行の証票のことです。
領収書は課税文書と呼ばれる税金のかかる書類に該当するため、この収入印紙の添付が必要となります。
印紙税は課税文書、ここで言うと領収書を作ったお店が納める税金となっています。

収める印紙税額は文書の種類や記載金額によって変わってくるのですが、領収書の場合は、5万円未満が非課税枠となります。したがって、5万円未満の支払いに対する領収書の場合は収入印紙は必要ありません。
なお、以前は領収書の非課税枠は3万円未満となっていましたが、平成26年4月の法改正により非課税額の引き上げが行われて現在では5万円未満となっています。
クレジットカードは後払い…だから領収書の発行は義務ではない!?
それではここからは、クレジットカード支払いの際の領収書の扱いについて解説していきましょう。
結論から言ってしまうと、実はクレジットカード払いに対しては領収書の発行は法律的には不要ということになっています。
というのは、クレジットカード払いは領収書発行のための必要条件を満たしていないからです。
クレジットカード払いが領収書発行が不要な理由
上でもお伝えしたとおり、領収書というのはお金のやり取りが行われたことを証明するための書類です。しかし、クレジットカード払いではお店とお客の間で直接お金の受け渡しが行われることはありません。
その場でやり取りされるのは商品、あるいはサービスそのものだけとなります。クレジット決済において実際にお店にお金を支払うのはクレジットカード会社であり、しかもその支払いは後払いです。

クレジットカード払いでも領収書発行は可能!ただし正式書類ではない
とはいえ、『クレジットカード払いでは領収書を発行する義務はない』というのは、あくまでも法律上のきまりの話であって、絶対に領収書を発行することはできない、してはいけないということではありません。
ほとんどの場合、お店に依頼すればクレジットカード払いでも領収書を発行してくれるでしょう。ただしこの場合に発行される領収書は厳密にいえば法律上の要件を満たす正式な『領収書』ではありません。
クレジットカード払いではお金のやり取りがあったことの証明としての領収書は発行できませんから、たとえ書類の表題が『領収書』となっていても、それは法的な領収書とは異なるのです。このことは、国税庁も認めています。
要注意!クレジットカード払いの領収書には必ず但し書きが必要
正式な書類としての『領収書』と、クレジットカード払いで便宜上発行される領収書を区別するため、通常はクレジットカード払いで発行される領収書には『クレジットカード利用として』などというように、その旨を示す但し書きが記載されます。

もしもお店側のミスなどでこの但し書きが記載されていない場合、形式的にはその領収書は法律的に正式な『領収書』とみなされることになってしまいます。
そうなると、書類上はお店がお客とクレジットカード会社の2か所から支払いを受けたことになってしまい、お店側だけでなくお客の立場である自分の方にも経理上の食い違いが生じてしまう可能性があるので注意が必要です。
クレジットカード利用で領収書を発行してもらう場合は、必ず但し書きが入っていることをその場で確認するようにしましょう。
クレジットカード払いの領収書に収入印紙は不要
繰り返しになりますが、クレジットカードの支払い時に発行される領収書は正式な法的書類としての『領収書』ではありません。したがって、収入印紙の添付の必要もないということになります。
通常は支払い額が5万円以上の場合に必要な収入印紙ですが、クレジットカードの領収書では金額の大小にかかわらず不要となるので、そのように認識しておきましょう。
レシート(お客様控え)が正式な『領収書』の代わりになる
オンラインショップなどをクレジット決済で利用した場合、領収書の発行に対応していないこともあります。
また、実店舗でも何らかの事情でクレジットカード払いに対しては領収書が発行できないということがあるかもしれません。

そのようなケースでは、レシート(お客様控え)が領収書の代わりとして利用することができます。
というのも、正式な『領収書』として書類を作成するにあたっては一定の条件があるのですが、レシート(お客様控え)はその条件をすべて満たしているのです。
- 商品・サービスを販売したお店が作成した書類であること
- 『書類作成者名』『利用日』『取引内容』『金額』の4つの項目が記載されていること
正式な『領収書』の必要条件はこの2つとなります。レシート(お客様控え)は、言うまでもなくお店から発行される書類ですし、必要な4つの項目もすべて記載されています。
したがって、法的にも『領収書』の代用として問題なく利用することができるのです。
念のため…クレジットカード利用明細も最大7年間は要保管
同じくクレジットカードでの支払いの記録となる書類として、レシート(お客様控え)の他に毎月のクレジットカード利用明細を思い浮かべた方もいるかもしれません。
ただ、上の2つの条件と照らし合わせてみると、クレジットカード利用明細では正式な『領収書』の代わりにはならないということがおわかりいただけると思います。
クレジットカード利用明細は、商品・サービスを販売したお店ではなく、クレジットカード会社から発行されるものだからです。
自営業の方は注意!領収書類原則最大7年保管義務
とはいえ、自営業者・個人事業主の方の場合、『領収書』代わりにならないからと言ってクレジットカードの利用明細をすぐ破棄してしまうべきではありません。
というのも、万が一、税務調査が入った場合、最大で7年間さかのぼって調査を受ける可能性があります。そのため、領収書の類は原則最大7年間の保存が義務付けられています。もちろん領収書の代用としてのレシート(お客様控え)にも同様のことが言えます。
ですが、レシート(お客様控え)は一般的に感熱紙に印字されており、熱などの外的要因によって字が消えてしまうこともあり得ます。そのような場合には、クレジットカードの利用明細が最終手段として代用可能になることがあるのです。

クレジットカード払いで領収書は発行できない!現金との仕組みの違いに要注意
このように、クレジットカードで支払いをする場合、現金とは仕組みが異なる部分が少なからず出てきます。特にビジネスでクレジットカードを利用するのであれば、使い方や管理に必要な知識はしっかりと身に着けておくように心がけましょう。










